先週より少し遅い出発だ。
いつものように近所のセルフでガスを満タンにする。
今日は,先週コーヒーを入れたあの廃村集落で,もう一度コーヒーを飲む予定。
伊勢湾岸道も渋滞しておらず,このまま高速道をどこまでも走っていきたい衝動に駆られるが,湾岸桑名ICで下りる。
今朝は先週に比べ,若干肌寒い。
先週革ジャンの下にインナーダウンを着るなら,今日こそ着るべきだったと少し後悔する。
国道421号線に折れる交差点にあるコンビニで,おにぎり一個の朝食をとる。ついでにどこか山奥で食すであろう昼食も購入する。
目新しい石榑峠のトンネルを抜け,東近江に下りる。
そして,いよいよあの三桁県道に入る。
天気は先週の方がいいのだが,それでも晴れている。
林道ばりの狭い曲がりくねった道を,400kgのエレグラに負けそうになりながら走る。当然だが,ローやセカンドの半クラも駆使。
いつものことだが,三桁県道・国道を一日走ったあとは,自宅付近の細かな一方通行の左折や右折が異常にストレスなく通過できる。400kgの車体をヒラヒラ感覚で操っているかのように。
ただし,重いのは重い(笑)。自宅庭での取り回しがそれなりにできるようになったのは,購入後1年を経過したぐらいからだから。
林道,いや県道をさらに進むと,まだちらほら花びらが残っている桜の木が目立ってきた。あの場所はもうすぐそこだ。
小さなカーブを抜けると,「なんか別世界だなぁ~」,とその風景に思わずつぶやいてしまうあの場所に到着。
まずはカメラを取り出し,付近を撮る。相変わらず人がいない。
そろそろコーヒーセットを…とリヤボックスに手をかけたとき,ジムニーが一台入ってきた。ちっ,と舌打ちをすると,今度はぞくぞくと軽トラが侵入。
何やら荷台に檻を積んでいる。
犬だ。
車から降りてきたじいさんたち。
『ほぇ~こりゃまたぴかぴかの単車やなぁ~』
『だびっどそんやてぇ~』
『わしもこれに乗れるんやで。免許は持ってるけど金がないからなぁ~わっはっはっは』
『メグロの450までは乗ってたんやけどなぁ~』
・・・
等々,思い思いの感想,武勇伝を披露。
どうやら,地元の猟師?猟友会?のおじいさんたちのようだ。
『この間,あの沢で尻だけ見よったんやけどな,構えたら逃げよったわ!』,などと話していたから。
30分は時間を取られたが,その場所から見える広場が無料のキャンプ場であることや,キャンプ場に水道はないが上の沢の水なら飲める等の情報を聞くことができた。
コーヒーは先週飲んだし,何よりもこの土地の主役はじいさんたちだから,よそ者の俺は舌打ちなどできる立場ではないな,と若干反省(笑)。
そろそろ行くか。まだまだ走りたいし。ヘルメットを被る。
『またこれの音がいいんよなぁ~』,とヘルメット越しに聞こえた直後にセルを回すと,『おっう!』と想像より大きな音に大層驚いた様子(爆)。
じいさんたちに会釈をし,『気ぃつけて』の言葉に見送られて出発する。
走り出してすぐのところで,別の県道と合流。
先週は右折した。今日は左折だ。
小さなダム湖畔道を右に左に進み,多賀町に着く。
ここから国道306号線で鞍掛峠を越えよう。
でも,そのあとどうするか。
まだ時間は11時。そのまま帰るのも何だか物足りない。
しばし地図を眺める。
二之瀬越。
北勢町から養老に抜ける県道だ。以前,何度かローライダーで走った道だ。養老から桑名に下りて,伊勢湾岸道で帰ろう。
左はサイドスタンドエクステンション,右はステップボードのステーを何度か擦りながら峠を越えた。
伊勢湾岸道を金城埠頭に向かって走りながら考えた。
今日は大きな峠を三つも越えたんだ。
距離・時間的に,いつもならまだまだ走り足りない感覚が残るはずなのだが,今日は割と満足している。
走りのほとんどが山の中だったから?
コーヒーを飲めなかったのに?
ひょっとすると,あのじいさんたちとの会話(笑)?
結局,その理由はわからなかったが,帰宅後,滅多にないことだが,今日のデジカメ画像をテレビで見ながら1時間ほど眠ってしまった。